2017/2/14に公表された学習指導要領改訂案(国語)について、ひとまずコメント

横浜/大さん橋にて撮影

新学習指導要領(=改訂案)における国語の「目標」:
言葉による見方・考え方を働かせ,言語活動を通して,国語で正確に理解し適切に表現する資質・能力を次のとおり育成することを目指す。
(1) 日常生活に必要な国語について,その特質を理解し適切に使うことができるようにする。
(2) 日常生活における人との関わりの中で伝え合う力を高め,思考力や想像力を養う。
(3) 言葉がもつよさを認識するとともに,言語感覚を養い,国語の大切さを自覚し,国語を尊重してその能力の向上を図る態度を養う。

現行学習指導要領における国語の「目標」:
国語を適切に表現し正確に理解する能力を育成し,伝え合う力を高めるとともに,思考力や想像力及び言語感覚を養い,国語に対する関心を深め国語を尊重する態度を育てる。

(以下、ツイート転載のため口語体です、ご了承のほど…)

学習指導要領改訂案公表って言うんだけど、相変わらず文科省のサイトに行っても、どこにあるのか非常に分かりづらい。パブコメ募集のページからリンクをクリックしないと見つからないとは。http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=185000878&Mode=0
(その後発表された新指導要領(確定版)はこちらです)

さて、新学習指導要領国語科の目標。全体に細分化されたのは、よい傾向。

相変わらず「言語感覚」「想像力」といった実体の見えない言葉や「伝え合う」というアクティブ系の言葉が盛られているが、全体には改善されたかと。

「関心」が消えたのは、よろしい。「国語を尊重する態度」が「国語を尊重してその能力の向上を図る態度」に変わったのも、よろしい。

「国語を適切に表現し正確に理解する能力」が、「国語で正確に理解し適切に表現する資質・能力」に変わった。「を」が「で」になった(笑)。そして「表現・理解」の順が「理解・表現」の順になった。この順序の入れ替えは有意義。まずインプット、次にアウトプットという意味を読み取れる。よろしい。

そして何より、冒頭に「言葉による見方・考え方を働かせ」が加わったのは、大変よろしい。意味が分かりづらいとはいえ、「見方」つまり「観点」の重要性が冒頭にあるというのは、実に有意義。私が日々指導していることと同じだ。この本に書いた→ http://ow.ly/YQ9G7

なお、改訂案・中学校の国語では、「日常生活」が「社会生活」に変わっている。日常と社会。どういう観点で区別してるのかが曖昧。指導要領書いてる人の「言葉による見方・考え方」に疑義が残るが(笑)まあ生活圏(人とのつながりの範囲)の広狭のことなんだろう。でも社会生活=日常生活だよなあ…。

それから、小学校では「言葉がもつよさを認識」、中学校では「言葉がもつ価値を認識」。「よさ」と「価値」を使い分ける意味がどこにあるの(笑)??? そもそも「言葉がもつよさ」って何やねん。

さらに小学校では「言語感覚を養い,国語の大切さを自覚し」。同じ箇所が中学校では「言語感覚を豊かにし,我が国の言語文化に関わり」。まあかろうじて後半は違いがあるが、前半はこれまた、なぜ「養い」と「豊かにし」で使い分けるのか、不明。これを書いた人、自身の「言語感覚」に依存しすぎ(笑)

「言葉のよさ」ってほんと謎。「絵のよさ」「音楽のよさ」とかと比較すれば、ぼんやりと意味が浮かぶけれども。要は「言葉があるって素晴らしいね」的なことを教えろよと(笑)なんだかなあ。指導要領を「よさ」で検索すると、他教科にもたくさん出てくる。「数学のよさ」とかね(笑)

でも、「◯◯って、ほんとにいいもんですね」というときの◯◯には「映画」のような具体的なものが入るならまだしも、「言葉」はやっぱり入らんよなあ(笑)

まあ困るのは教科書会社だね。「言葉のよさ」かあ。どう教材化すればいいんだ?! となる。他の記述も含めて、きっと光村はじめ各社ではいまごろ戦々恐々だろうね(笑)これからどう改訂していけばよいか、と。

――以下、翌日に追記――

今回の指導要領改訂案。「アクティブラーニング」という言葉が完全に消え、「主体的・対話的で深い学び」に完全統一された。まあ、ひとまずは歓迎したいが。

しかし、アクティブラーニングという名前(記号)それ自体は、一定の役割を果たしてはきた。「ALとは◯◯である」「いや、◯◯ではなく△△である」というような議論を呼び起こしたから。

今後はどうか。「主体的・対話的で深い学び」。「主体的」も「深い」も象徴的で「名前」の役割を持ってはいるが、なにせインパクトが弱い。だからきっと教師たちの意識からは消えていく。残るのは「対話的」だけになる。これのみ内実が見える。つまり今後は「対話」の授業ばかりになるというわけだ。

今後は私も、アクティブラーニング批判ではなく、対話型授業批判へと転換したい。

私がこれから塾で始めようとしている「討論」の授業をとおして、真の対話型授業とはこうあるべき、という姿を示すとともに、その前提になる論理的思考力の育成法を今後いっそう強くくっきりと示していきたい。

対話の前に、まず孤独な読み書きを。この方向性は今後も変わらない。

今日の読売。「AL関連の指導書などを約20冊発行する東洋館出版社(東京)は、「AL」という言葉を今後使わない方針で、「記述の手直しも必要になる」と語った」。

これで、アクティブラーニングの本も売れなくなっていく。ご苦労さんでした(笑)

本のタイトルにはぴったりだったんだろうけどな。アクティブラーニング、という記号は。「主体的・対話的で深い学び」では、タイトルにならない。となるとやはり、「対話的授業」程度だろうな。

 

  • 上記は2017/2/14のtweetをまとめたブログ記事の転載です。

関連記事

ピックアップ記事

  1. 2017-11-17

    本/最新情報 累計発行部数:554,200部!『授業力&学級経営力』必読!

    『授業力&学級経営力2017年12月号』必見です(11/13発売)。 …
  2. 2017-11-12

    mine(マイン)全リスト

    福嶋隆史の教育論考――とりわけ国語教育の枠を越えた教育全般についての論考を掲載。 mineは、株式…
  3. 2017-10-24

    福嶋隆史の教育論

    教育にまつわる種々の主張をアップしています。このページは全体の「目次」にあたります。 ▼教育関連:…
  4. 2017-9-30

    メルマガ/最新情報 有料メルマガ:最も詳しい授業の実録。購読者募集中!

    有料メルマガ「ふくしま式で文学・評論を読み解く!」は 2017年2月に創刊1周年を迎えました。 …
  5. 2017-7-28

    福嶋隆史の連続ツイートまとめ

    福嶋隆史の連続ツイートまとめ 比較的重要度の高い「トゥギャり」をこちらにリストアップしています(投…

スマホでも見られます

スマホの場合、まずは右上の「menu」をご利用ください。

ページ上部へ戻る