天声人語や編集手帳の書き写し・要約に意味はあるのか?

横浜・山下公園にて撮影

天声人語や編集手帳を「要約」させようとする教師講師がいるが、やめたほうがいい。
新聞一面コラムというのは、具体例や比喩にこそ価値がある。
抽象的な主張だけにしてしまったら、面白くもなんともなくなる。
なぜそんなことをさせる教師講師が多いのか。
それは、自分で要約したことがないからだ。
自分で要約を何度か試してみれば、これ意味ないな、と気づけるはず。
自分でやりもせず、「コラムの要約がおすすめだよ」などとバカのひとつ覚えのように指導している。
天声人語や編集手帳というのは散文詩のようなもの。
詩を要約するのが馬鹿げているのと同じく、天声人語や編集手帳を要約するのも馬鹿げている。

~以上、2018/4/11のツイートより。以下、『日本語の活かし方』P.64~67より。~

書く力をつけるための練習方法として一般に受け入れられているのは、「書き写し」です。
「天声人語」や「編集手帳」の書き写しなどは、一度は試したことがあるのではないでしょうか。前者は朝日新聞の、後者は読売新聞の一面コラムです。
実際に書いたことがなくとも、「天声人語書き写しノート」なるヒット商品については、耳にしたことがあるはずです。
私も職業がら、よくたずねられます。
「天声人語の書き写しは、効果があるんですか?」と。
それに対する私の答えは、こうです。
「まあ、無駄ではありませんが、あまりおすすめはしません」
何を目的にするかで、価値は変わります。
時事問題を俯瞰的に捉えるための視点を身につけたいというのなら、無駄ではありません。それは、文章の〈内容〉が参考になるという意味での価値です。
しかし、文章の〈形式〉を真似するための題材としては、不向きです。
「天声人語を書き写せば国語力がつく!」という意見には、賛成できません。
先に述べたように、国語力とはすなわち言語技能、言いかえれば形式操作能力のことです。思うように文章が書けないという悩みを持った人に必要なのは、まず「技術」です。
一方、天声人語は「芸術」です(内容への賛否はさておき)。
たとえ六〇〇字といえども、それは完成品です。
完成品というのは、文章が乱れています。
え? 逆では? と思うかもしれませんが、逆ではありません。
味わいのある文章というのは、多かれ少なかれ「型破り」なのです。
歌であれ絵であれ演技であれ、同じです。
型破りな作品をどれだけ真似しても、型は身につきません。
では、書き写しに適した題材というのは、ないのでしょうか。
教科書はどうでしょうか。
教科書ならば、基本的な型を大切にした文章を載せているのではないか――そう思えないこともありません。
しかし、残念ながら答えはノーです。
教科書もまた、「芸術」オンパレードなのです。
中・高の教科書はもとより、小学校の教科書も全く同じです。
「ごんぎつね」やら「大造じいさんとガン」やらを書き写したところで書く力が上がらないことは、容易に想像できます。文学作品のみならず、説明的文章でも同じです。具体例は省略しますが、小学校低学年の教科書に載っている説明文ですら、乱れています。私がある小学校に研修会講師として出向いた際、この説明文は構造が難しすぎるので小学二年生に本気で教えるのは無理があると話したところ、やはりそうなんですね、腑に落ちましたという言葉を受けました。
新聞も教科書もお手本にならない。
では、何がお手本になるのか。
芸術性を排除した、無機質で技術的な文章。それこそがお手本です。
しかし、そういう文章を集めた本には、残念ながらお目にかかったことがありません。
ですから、私は「作るしかない」と考えました。
その結果でき上がったのが、「ふくしま式二〇〇字メソッド」です。
この中には、多数の「お手本」となる文章が書かれています。
ぜひ、ご利用ください。

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