開成分析/2018合格校→桜蔭,フェリス,開成,麻布,聖光,栄光,浅野,YSF高附属…ふくしま式は時代を10年先取りしている!

2018年 中学入試合格状況

  • 桜蔭中学校……1名(女子御三家)
  • 開成中学校……2名(男子御三家)
  • 麻布中学校……1名(男子御三家)
  • フェリス女学院中学校……1名(女子”神奈川”御三家)
  • 聖光学院中学校……2名(男子”神奈川”御三家)
  • 栄光学園中学校……1名(男子”神奈川”御三家)
  • 浅野中学校……2名(男子”神奈川”御三家)
  • 攻玉社中学校……1名(わが母校)
  • 横浜サイエンスフロンティア高校附属中学校……1名(倍率8倍超)

の他、高校・大学の結果も含め、当塾生徒の入試結果はこちらに記載しています。

▼2018/2/4▼
今、四谷大塚やinter eduのサイトで入試問題をチェックしている。
毎度のことながら、国語は他教科と違い著作権の制約があり問題が掲載されないことがほとんどだが、記述が多い場合は解答例から問題を推測できる。
また、四谷大塚データベースでは問題もアップされることがある(どう著作権処理をしているのか分からないが、まあ適正にやっているのだろう)。
そこで、現段階でざっとチェックした問題についてコメントしておく。
なお、今回の記事は完全無料。でもこれ、有料メルマガで配信すべきだったかもしれない。
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開成中学校

大問1=物語文の出典は『木曜日にはココアを』(青山美智子/1970生)の中の「きまじめな卵焼き」。
現時点で解いていないが、4つの小問の最後=問4に明確な対比的心情変化鉄則8)が出題されているのが印象的だ。
でも何より印象的なのは、大問2。まずグラフが目を引く。実にイマドキだ。
時代の流れに逆らわず、非連続型テキスト(=文章以外の素材)を用いた、PISA型読解のような出題。
ただしまず短い文章を読むことになっている。その内容は次のとおり。
デパートの店員2人(大西・小池)の販売実績を部長が社長に報告したら、社長にこう言われた(主旨)。
1)あなたの報告は客観性に欠ける。大西を評価したいという態度が現れている。
2)私は小池のほうを高く評価する。
で、問1は、客観性に欠けると判断した表現を抜き出すもの。これは平易。大西は「見事に」完売したのに小池のほうは売れ残りが生じて「しまい」ました、というところを抜き出す。プラス・マイナス両方を抜き出させるようにしてあるあたり、作問が細密。
でもそれより何より、問2が重要。
小池を高く評価する社長の考えを、次の型で4文で書けというのだ。

たしかに――。
しかし――
一方――。
したがって――。

接続語を指定することで、剥き出しの論理的思考力を測ることができる。価値ある問いだ。
こんな問題は、これまでの開成の問題でお目にかかったことがない。繰り返すが、実にイマドキだ。
そして何を隠そう、ふくしま式200字メソッドにそっくりの型である。

アは1なためAである
しかし、イは2なためBである
だから、アよりもイのほうがCであると言える。

これが、ふくしま式200字メソッド。
ただ、今回の指定された型は、これよりちょっとだけ難易度が高い。
それは、対比関係(逆接)の接続語が2つ続いている点だ。「しかし」と「一方」。
対比が2つある。ということは、観点が2つある。このことに気づけると、正解の度合いが高まる。このあたりについては後述。
で、単なる作文ではなくグラフ*をもとにしなければならないところが、また難易度を高めている(*時刻ごとの売上推移の比較)。
全国学力テストなどでは、グラフに無駄情報が多すぎるパターンが多い。
無駄情報とは、その情報が存在する必然性がない情報。ただ集中力を削ぐだけの雑音的要素。
ところが開成の今回のグラフは、非常によく考えて作られており、無駄情報が少ない。
どこがよく考えられているのか。
それは、次の 1)に示す算数的発想を排除した上で 2)に移行するという思考プロセスを想定している点にある。
1)グラフがあるにもかかわらず、算数のような計算をほとんど必要としないようになっている。
(開成受験生は特に)真っ先に目が向きがちな、時刻ごとの売上率の差などを算数的に計算しても、答えには結びつかない。
なぜなら、大西はほぼ*全ての時刻で小池よりも売上率が高い(=傾きが小池より斜めになっている)からだ(*1箇所だけ小池のほうが高い時間帯があるのもミスを誘っているのだろう、よくできている)。
売上の絶対数でないなら相対的な率を、全体でないなら部分を見るしかないのだが、それはできないということ。
つまり、小池を高く評価する理由が見つからない。
2)では、どこを見るのか。それはやはり、閉店(19時)間際の部分。
新宿支店の大西は、用意した500個の弁当を18時までに売り尽くした。
一方、池袋支店の小池は売り尽くさなかった。用意した450個中20個の売れ残りが出た(=これが、部長の低評価の理由)。
これらのことは、文章及びグラフから明確に読み取れる。(なお、支店規模の差は関係ないと社長が断言しているので、500とか450とかいう元の仕入れ数は無視することになるのだが、これも、低レベルな受験生をふるいにかけるための方策か。支店規模の差を答えに含めてしまう子も一定数いるだろうから)
ともあれ、結局、こういう話だ。
「閉店の1時間前に売り尽くした」というのは、自己(自社)にとっては利益だが、他者(客)にとっては不利益である。18時以降の客は弁当を買えない。
「売れ残りが出た」というのは、自己(自社)にとっては不利益だが、他者(客)にとっては「売り切れにならずに済んだ」わけであり利益である。
こうした逆説的発想を求めているわけだ。
そこで、ふくしま式の答案はこんなふうになる。

たしかに、大西社員は小池社員よりも自社の利益を上げている。
しかし、大西社員は一八時以降に訪れた客に対しては商品を提供できなかったはずだ。
一方、小池社員は一八時以降に訪れた客にも商品を提供できている。
したがって、小池社員は自社の利益より客という他者を重視したとも言えるわけであり、むしろ優れている。

ちなみに四谷大塚の模範解答では、3文目までは主旨が同一だが、4文目がこうなっている。

お客さんに満足してもらうことができた小池社員のほうが優れていると言える。

ここには「客=他者」の説明しかないので、不十分である。これでは、疑問が残るのだ。
「え? でもやっぱり、自社の利益が上がっているほうが評価できるんじゃないの? なんで客全員に提供することのほうが大事なの?」という疑問が。
ここで、先に述べたことを思い出してほしい。
今回の答案には、対比が2つある、すなわち観点が2つある

〈観点1〉
大西……商品を売り切った
小池……商品を売り切らなかった
〈観点2〉
部長の判断基準(部長の観点)……売れることが大切(a)
社長の判断基準(社長の観点)……より多くの客を満足させることが大切(b)
〈観点2を抽象化
部長……自己(自社)利益優先(A)
社長……他者(客)利益優先(B)

四谷大塚の答案は、小文字a・bで終わっている。
が、大文字A・Bまで持っていけばこそ、社長の言い分が一定の客観性を持つのである。
そして、この答案(他者重視)はいかにも国語的だ。ここで言う国語的とは、石原千秋が言う「道徳的」の意味である。
それにしても、ここまで抽象化できた子どもは、出願者1234人*の中の合格者388人*の中の、せいぜい5~10人程度ではないかと思う(*)。
このたび開成に合格したわが塾の生徒がそこまで書けたかどうかは今のところわからないが(笑)、ひごろから「自他の観点」*を指導しているので、もしかすると書けたかもしれない(*7つの観点)。
ともあれ、今回の開成の大問2は、よく考えられた良問であったと思う。
私は、全国学力テストのような無駄情報の多いグラフ問題・イラスト問題は嫌いだが、こういう無駄情報の少ない、シンプルにして奥深い問題は好きだ。

桜蔭中学校

ちょっと開成に力を入れすぎた。桜蔭はまだ解いていないので概略だけ。
今年の桜蔭の特長も、結局は時代の流れに従った変化にある。

変化1。いつもは文学的文章に比重が置かれているが、今回は説明的文章に比重が置かれていた。
変化2。いつもは超のつく長文、あるいは超のつく難解な文章が題材だが、今回は非常に短く、平易な文章が題材だった。

(しかも今年は、恒例「200字記述」の字数制限がなくなった。私の疑問が解消された形だ。説明的文章はその骨組みを抽出すれば文章の長さをいくらでも調節できるので、字数制限を外したのかもしれない。歓迎すべき変化だ)
ともあれ、これらの変化も要するに論理的思考力をより正確に測りたいという意図の現れだろう。開成と同じで、時代の流れに沿ったわけだ。
テクストの複雑さが消えるほど、剥き出しの思考が答案に現れる。
このことが、ようやく認知され始めたのだ。
そして、「ふくしま式」は、こうした流れを10年前から先取りしている。
何しろ、私の処女作にして10万部突破のベストセラー『本当の国語力が驚くほど伸びる本』は、2009年夏に刊行された。
これは、それまで3年かけて蓄積したオリジナル教材、あるいは独自の指導法をこれでもかと取り入れた本なのだ。
自らの指導の正しさを、あらためて思い知る機会となった。
そして、桜蔭を受験した生徒も、見事に合格を勝ち取った。おめでとう。

あ、そうそう。おまけ。

聖光学院中学校

1/26(金)の授業で、私はこう言った。
聖光はこういうの好きだから、ちょっとやっておこうか。
あ……あらあらしい
い……いまいましい
う……うやうやしい
え……」
そして50音順に次々と思いつく重複形容詞を挙げていった。
そしたら、なんと、1週間後、聖光の入試に全く同じ内容が出題されたのだ。
今日、生徒保護者から「先生に教わった重複形容詞が出たと言ってました」という連絡を受けた。
例によってまだ問題を見ることができないのだが、解答を見ると、大問2にあった。
「みず/いま/まめ/ずう/うや」
みずみずしい。いまいましい。うやうやしい。この3つは授業で教えた。
しかも、その場にいた聖光受験生は「いまいましい」「うやうやしい」を知らなかったらしいので、きっと役立ったはずだ。
そして実際に、合格した(もちろんそのおかげとも言い切れないが…算数のおかげかもしれないし笑)。
それにしても、この的中は、嬉しい。
それみたことか、という話だ。
受験前、一定期間にわたり学校を休むのと同じような感覚で塾も休む子がときおりいるのだが、プロをなめてもらっては困る。
最後までちゃんと出席した生徒が、得をするのである。

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